初めてのはんこ講座入門編 Vol.02『印鑑の材質』何が良いか

初めてのはんこを購入される方向けにはんこアドバイザーの五代目がはんこについてご説明させてもらいます。
初めてのはんこ講座
今回は入門編vol.02『印鑑の材質』何かというお話です。

この記事の内容

1.はんこ材質(はんこ素材)種類
2.はんこに良い材質(素材)は『天然の材質』
3.天然素材のオススメのはんこ(印鑑)材料
4.用途・目的に応じた材料選びを


1.はんこ材質(はんこ素材)種類

印材(はんこの材質)には天然の素材と人工的な素材の二種類があります。※ゴムで出来ている物やシャチハタは別物として今は考えます。

■人工的はんこ材質の中で代表的な物
1.チタン
2.アルミ
3.彩樺、アグニなど…
4.100円均一ショップのはんこ素材(カゼイン樹脂(ラクト))※牛乳のタンパク質を原料としています。ラクトは洋服のボタンや万年室・シャープペンシルの軸・サイコロ(ダイス)そして、ピアノの鍵盤になります。
はんこ素材
■天然のはんこ材質
1.柘(ツゲ、本柘)<木製>
2.アカネ(東南アジア原産)<木製>
3.黒檀、白檀(コクタン・ビャクダン)<木製>
4.白樺<木製>
5.メイプル(楓)<木製>
6.黒水牛(クロスイギュウ)<角>染めあり・染めなし(ナチュラル)
7.牛角(ウシノツノ)<角>
8.マンモス(マンモス)<牙>
9.象牙(ゾウゲ)<牙>
(他に、サイ、カバ、クジラ、鹿などがあります)

■石のはんこ(パワーストーンと巷で言われている)
1.水晶
2.ラビスラズリ
3.ロースクォーツ(紅水晶)
4.黄水晶
5.紫水晶(アメジスト)
6.コーラルアゲイト
7.虎目石
8.翡翠
9.オニキス
※他にも種類があり、観賞用に作られた人工結晶の物もあります。アメジストは有名な人工結晶。


2.はんこに良い材質(素材)は『天然の材質』

はんこに縁起を担ぐ品物として検討される事もありますし、一生涯使える物を検討されている事もあります。折角買うものならば大切に使える素材を選びたいもの。

理由1.はんことしての実績(歴史)がああります
天然の材質は、はんことしての実績(歴史)があり耐久性も信頼も得ている事が何よりも安心される理由。

理由2.自然のものは人に馴染みがよい!
天然・自然の材質は、使っていて手にフィットする使い心地、優れた耐久性にスッと手に馴染む感触。材料によっては重さも違い適度な重量感は捺すぞ。という満足感も得ることが出来ます。また、朱肉との相性はとても重要なことです。朱肉を少し材料が吸収することで紙に鮮明な印影を映すことが出来ます。

理由3.手彫りの加工が出来る
はんこは、自分の名前をしっかりと書類に捺印する道具です。機械が彫刻したはんこでは何度彫っても同じ物が出来ます。
手彫りをするはんこは、材料に文字を手書きする事が重要です。手書きした文字を彫刻刀を使い人の手で彫れる物は天然の材料でなければ彫刻刀の刃が立たず彫れない。(チタン・アルミやパワーストーンと呼ばれる石のはんこは機械が研磨刀を使い彫ります)


天然素材オススメのはんこ(印鑑)材料

天然の素材の中でもポピュラーな材料は柘、黒水牛、牛角、象牙です。
これらは江戸末期ごろからの使用実績があって改良を重ねて今の形になっています。

手彫りはんこ素材のこだわり
■柘材(ツゲ)
価格は手頃ですが、木材の中で一番はんこに適した硬さ文字の表現力もあり、木の中でも耐久性に優れています。木目がはっきりと見えるものや、キュと引き締まり木目が見えない物もあります。

植林から成木になるまでに30年も掛りじっくりと成長する木です。当店も加盟するはんこ組合では、毎年鹿児島県にて植林を行い安定供給を実現しています。 ※本柘と呼ばれる国内産とアカネ(シャム柘)と呼ばれる海外産があり海外産は木地の目が荒く耐久度も落ちます。

■黒水牛(クロスイギュウ)
ツゲよりも高価ですが、庶民的な人気がある材料です。
牛の黒い角(ツノ)部分を加工し(天然の色が悪い物は中までしっかり染めます)漆黒と呼ばれる事もあり、黒い印鑑の定番になっています。染めていない「染めなし」(ナチュラル)もご用意できます。

皮膚が盛り上がり形成された素材なので繊維質が主。繊維の一本ずつが塊、粘り気もあり欠けにくく紙との摩擦に強い。
材料の中心に芯を持ち芯から外れると収縮や曲がりが起こります。材料に芯が入った芯持ちをオススメします。また、はんこ以外に洋服のボタンにも使われる事があります。

■牛角(ウシノツノ)
黒水牛と同じ牛の角の部分ですが、牛の産地が違い
豪州(オーストラリア)が主な産地の陸牛の角(アフリカ産も一部含まれます)

硬く締まった材料、黒水牛と同じく繊維質で出来ていて欠けにくく摩擦に強い。粘りもあって黒水牛に比べると角が小さく少量しか採取できないため高価になります。名前の由来はオランダが原産ではなく、昔は日本への輸入品を舶来物、オランダと呼ばれたことなどが由来します。

■象牙(ゾウゲ)
象の牙(キバ)上顎の門歯を象牙と呼びます。人間の歯と同じエナメル質です。見た目に美しい光沢がありツルツルとした手触り感と、使い込むと朱肉の色が中に染み渡り透明感のある美しい赤色に変化します。

硬く耐久性にも優れるのに、弾力性と粘りも持ち合わせ硬く引き締まった材料。彫刻性に優れていて長く使い込むはんこに最適な条件を持ち合わせています。
産地はアフリカ、古代エジプトでは家具や装飾品に、また日本でも古くから工芸品や三味線のバチ、ピアノの鍵盤、キセル、根付と、細かい細工が出来ます。見分け方、表面に象牙特有の「縞目」があって、手に持つとヒヤッと冷たい。


用途・目的に応じた材料選びを

全ての用途・目的に高級な材料を選択することは間違っていませんが、男女や年齢によっても選択肢は変わってきます。使い方に合わせたはんこ選びをご案内します。

頻繁に捺印する機会が多い認め印
・職場で書類に捺印をする回覧書類に決算書や稟議書、提出書類に出欠の返信。
・自宅では保険の書類にいろんな申込書子どもの学校提出書類。町内の回覧板や宅配便の受取りなど、他にも認め印の登場回数は結構多い。

こんな出番が多い認め印の材料には「黒水牛(牛角)か象牙」がオススメ。
繊維質をした水牛、黒水牛、牛角は粘り気があって枠から欠けにくい。また、象牙は弾力性と粘り気を併せ持った耐久性に優れた材料です。

銀行・金融機関に登録する銀行印
・名前のとおり銀行との取引に使用します。それ以外の用途はない。

認め印と兼ねて使う方も多いですが、これは間違った使い方。
必ず分けて使わないと、紛失や盗難に遭遇した時に手続きが面倒。紛失でなくても欠けたり使えなくなった時は登録してあるすべての書類に変更手続きが必要になります。


次回、Vol.03は『朱肉には種類がある』について
乞うご期待です。

公開日2014年5月
リライト2019年11月

金沢のはんこ屋ー五代目